建設業界のDX事例【7選】建設業でDX化が進まない背景から課題の解決策までを解説

建設業界でDX化、IT化が進まない理由はなぜでしょうか?

本記事を通してその背景から課題や解決策を詳しく解説します。

また、本記事の中では実際に建設会社がDX化に取り組んでいる事例も含めて紹介したいと思います。

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目次

建設業界におけるDX化が進まない背景

建設業界におけるDX化が進まない背景

建設業におけるDXとは、AIやIT機器などを活用して建設業にデジタル技術を取り入れて業務の機械化による効率化・省人化を図り業務改善を実行するほか、生産性の向上を図ることです。

しかし建設業界において、DX化が中々進まない背景として下記3点の大きな課題があります。

  1. 人材不足
  2. デジタル技術に不慣れ
  3. 情報リテラシーが低い

DXを推進することで魅力的な産業として入職者の増加・生産性の向上が期待できます。

更に、これまで人の手で行われてきた技術継承が言語化、文章化が推進されて技術の衰退・喪失を防ぐ効果や、技術継承を促進させることにもつながります。

人材不足(少子高齢化・熟練技術者の引退)

2000年頃には600万人程度いた建設業従事者数は現在400万人を下回っています。

加えて、新規入職者数は年々減少傾向にあり、加えて高齢化率も高くなっています。

大手建設業(ゼネコン、コンサルタント)の企業であっても、半数以上の企業が人材不足と言われているのが現状です。

本業界の従来の技術移転は、人から人へ経験工学的に受け継がれてきました。

従って、机上・座学で学ぶことが難しく経験によって身につける技術(経験工学)のため、若手技術者の減少と熟練技術者の引退が技術の喪失を招いてしまっているのです。

デジタル技術に不慣れ

大手企業であってもデジタル人材育成には時間とコストを要しており、十分に進めることができていません。

そのため、中小企業では大手企業よりも小さい規模での推進にとどまっています。

元々の高齢化率からもデジタル技術に不慣れな業界です。

補助金などの国の制度も最大限活用して積極的に導入していくことが重要です。

情報リテラシーが低い

建設業界は、古くから紙や電話を使ったアナログな手法で業務を進めてきました。

そのため、業界的にもデジタル格差が激しく、かつ高齢化によりIT技術への意向に後ろ向きである人が多いことも問題です。

上述とも重複しますが、DX(資機材・取り組み)導入による補助金制度などもあり、導入障壁は低くなってきています。

使える制度を使って慣れていくことが重要になります。

建設業界のDX事例7選 

建設業界のDX事例7選 

ここでは、実際のDX事例としてDX認定を受けた事例を7選紹介します。

DX認定とは、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応しており、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度です。

前田建設工業株式会社【デジタルサイネージの活用】

安全情報の共有と生産性向上(紙書類削減)を目的として、全国の現場作業所への「デジタルサイネージ」の導入を推進している。デジタルサイネージの導入により、全社共通の安全等の情報に加え、作業所独自に発信する情報コンテンツを迅速に作成・表示することも可能となり、工事の進捗状況や資機材の搬出入情報、安全情報など迅速な情報共有が可能となるとともに、多種多様な情報を職員が伝達・更新する手間を軽減できる。また、朝礼時や見学会の際には、ミラーリング機能を利用することによって、従来の口頭中心の説明に視覚情報が加わり、より具体的な作業指示や現場の紹介が可能となる。上記を背景に、野外昼間でも十分な視認性を確保でき、任意の画像・動画・web ページなどを自由なレイアウトでコンテンツを作成することができる利便性の高いシステムとして、「Field board(株式会社セイビ堂)を採用し、現場の情報伝達の高度化・効率化を図った。

運用の効果として以下の3点が確認された。

・情報共有の迅速化・効率化

・コンテンツ活用による資料作成の手間軽減および紙資料の削減

・伝達漏れの防止やリマインダーとしても寄与

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

大成建設株式会社【コンクリート品質管理システム「it-Concrete」の活用】

本工事は東海環状自動車道西回りの養老IC~大安ICの未整備区間の津屋川橋のRC橋脚1基を施工するものである。 橋脚躯体工のコンクリート打設時に製造・運搬・打込み情報を電子化、クラウドで共有するコンクリート品質管理システムを導入し、生産性向上、品質向上を図った事例である。

運用の結果、生コン運搬車の運行状況をリアルタイムで把握できるので、現場作業の準備・調整を円滑に進めることができ、打設時間を最大2 割、短縮して生産性が向上した。打設終了後はクラウド上の当日打設データを確認することで、帳票作成の業務時間が50%以上短縮でき、生産性が向上した。生コン車の配車最適化や作業時間の短縮により間接的にカーボンニュートラルにも寄与することができる。生コン運搬車の運行状況のほか現場待機状況をリアルタイムで確認できるので、練り混ぜ終了後からの経過時間等も全台数把握できる。出荷調整、作業調整を的確に対応することができ、打ち重ね時間の短縮などの品質向上につながった。本技術の効果については、2018 年度に国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」(PRISM)にて試行し、効果を実証、高評価を得ている。

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

清水建設株式会社【遠隔管理システム(OPENSPACE)を活用した施工管理】

近年、働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止の為に、出勤する職員数を減らさないといけない在宅勤務やコロナ禍移動制限のために、社内パトロールが中止になり社内サポートを受けいれできない期間が存在した。こういった状況下において、現場ではICT を活用し現場を遠く離れた場所や在宅勤務地からでも、安全・品質管理等が行える「遠隔管理システム(OPENSPACE)」を導入することで、遠隔地から多数視点による施工管理を可能とした。

運用効果として、下記6点が確認された。

・360 度画像の施工記録が残せて、画像をもとに遠隔地から現場巡回ができる。

・360 度画像の時系列比較(同一位置・同一方向)ができる。

・360 度画像とBIM モデルとの比較ができる。

・画像の任意の場所にコメント記入できる。(現場点検・巡回業務の効率化)

・撮影した360 度画像を現地で携帯端末にて透過できるので可視化が簡単にできる。

・簡易点群(スマホのLiDAR 機能)から画像と点群の距離をシステム内で計測できる。

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

鹿島建設株式会社【AI 配筋検査システム】

AI 配筋検査システムは、ステレオカメラとタブレット PC から構成される AI 配筋検査端末と施工管理ソフト、クラウドと連携することで構成されている。ステレオカメラにて、対象の鉄筋を左右方向から同時に撮影し、視差情報を三次元復元処理して検査対象面を検出し、鉄筋配置を特定して,鉄筋の径、間隔、本数などを自動計測し施工管理ソフトで検査帳票を自動生成するものである。これより、従来作業で必要であったマーカーなどが不要となり、検査準備作業や出来形管理図作成作業についても省力化が行えるものである。

運用効果として、下記3点が確認された。

・作業時間の縮減に関する効果

標準的な鉄道高架橋工事を想定して検査1回あたりの工数を算出し、従来の配筋検査と比較した。本システム利用による効果は、準備・計測・検査に要する時間を 1/3 に短縮できることに加え、計測結果がデータとして記録され検査報告書に自動的に反映されるため、検査報告書作成時間も 1/4 に短縮できる。

・作業人員の縮減に関する効果

本システムでは,マーカーやスケールスタッフ無しで、撮影した配筋現場の画像から、鉄筋の径、間隔、本数を自動で計測(判別)することができるため、上記の準備作業が不要となり、従来、事前の準備・計測・検査でかかっていた人数を3人から1人に削減することができた。

・安全性に関する効果

配筋検査時間が短縮されることによって、高所作業場での検査作業時間が短縮される。加えて本システムは、足場の手すりなどを除外して対象鉄筋の計測が可能であるため、鉄筋から離れた足場のような安全な位置からの撮影・計測が可能である。また本システムでの撮影時には、マーカーやスケールなどの設置作業が不要であるため、これらの落下の危険性がなくなり、安全性も向上した。

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

株式会社大林組【遠隔代理立会】

コンクリートの品質試験のうち、圧縮強度試験や膨張率試験に関して受発注者が試験場に出向かずに品質試験を遠隔臨場で実施する。施工現場に携わらない協力会社の有資格者を試験場に派遣し帳票データを共有するタブレットとウエアブルカメラで試験状況をビデオ会議で共有する。発注者の担当者と受注者の有資格者の双方がそれぞれ離れた場所からオンラインで確認することで試験結果に責任を負う。

運用結果として、週に1、2 回のコンクリート試験で7〜8割に遠隔代理立会を導入。移動時間を節約でき、人数が限られる有資格者の生産性が向上した。また、移動手段がなくなったことでカーボンニュートラルへ貢献するものと考えられる。

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

株式会社竹中土木【簡易測量アプリ「位置プラス測」】

本技術は、GPS センサと気圧計を搭載したタブレット端末上で動作する屋外用簡易測量アプリである。事前に登録した設計、施工図面上に自分のいる位置、向いている方向を表示する。また、現在地の座標も画面上に表示されており、任意のタイミングで記録することができる。本技術を使用することで、測量機器を用いることなく簡易に現地測量が行える。また、施工管理員や作業員とのイメージ共有のツールとしても使用できる。

運用結果として、下記6点が確認された。

①  タブレット端末だけで簡易な測量ができる

② 施工イメージの共有が現地で簡易にできる(作業指示、立会)

③ 伐採ラインの位置だしや仮設道路の計画がタブレット端末だけでできる

④ タブレット端末を携帯するだけなので、両手が空いた状態で移動、作業が可能となり、

安全性が向上する

⑤ 図面データや測量データはクラウドにアップロードされ、データ(図面、現地状況)の共有できる

⑥ 現場巡回中等の咄嗟のタイミグで、すぐに測量ができる

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

佐藤工業株式会社【UAV を使用した地形追従飛行による写真測量】

従来のUAV 測量では、一定の高度で飛行しながら写真を撮影するため、地形の起伏により地表面とUAV の間隔が変動し、三次元化した際に鉛直方向の精度が低下するケースや、地上画素寸法の変動といった問題が発生していた。また、起伏が激しい場所では、計測エリアを分割して実施するのが望ましいが、離着陸や標定点などの再設置により多くの時間を要してしまう問題点もあった。そこで、現場にて従来の計測方法であるレベル飛行(UAV が一定の高度で飛行)と地形の起伏が多い場所による分割飛行(飛行範囲エリアを複数に分割して飛行)、地形追従飛行(地形の起伏に沿ってUAV を飛行)の3 パターンの検証を行い、地形追従飛行の優位性について確認した。

運用の結果、UAV が地形の起伏を認識し、UAV と地表面の間隔を一定に保つことが可能になる。そのため、鉛直方向の精度は10mm 程度、地上画素寸法の変動はなくなった。また分割して飛行することも無いため要する時間は40〜90分程度短縮された。

引用元:https://www.nikkenren.com/publication/detail.html?ci=356

建設会社がDX化を図るための施策

建設会社がDX化を図るための施策

建設会社がDX化を推進するための施策として様々な取り組みが実施されています。

その具体例として3点を紹介します。

  1. i-Construction
  2. BIM/CIM
  3. インフラDX総合推進室の発足

i-Construction

i-Construction(アイ-コンストラクション)とは、建設現場のあらゆるプロセスにおいてICT技術を導入して、生産性向上や経営環境の改善などを行うための施策です。

具体的に例えば、測量においてドローンを用いて3次元点群測量を行います。

その結果をBIM/CIMを用いて3次元モデルで構造物を設計し、干渉チェックを行うことで設計の手戻りを防ぎます。

更に、3次元モデルに属性を付与することで施工ステップの簡略化・効率化に加えて維持管理性も検討できます。

更に施工時にはICT建機を活用し、丁張が不要なため作業の省人化が図れます。

維持管理においてはICT機器を設置しておくことで最適な補修・改修時期に対応できます。

上述の通り、これまで人の手で行ってきた作業を機械化し、業務の効率化を図ることが可能です。

BIM/CIM

上述で触れた通り、設計において従来2次元で対応していたものが3次元モデルを活用して干渉チェックや維持管理を考慮した設計が可能になります。

また、3次元モデルが属性を持っているため、配管工だけを表すことで交換性を検討することなどが可能になり、維持管理方法を設計段階で検討できます。

インフラDX総合推進室の発足

国家を上げたDXの推進に伴い、令和3年4月1日に国土交通省・研究所・地方整備局等が一体となり取り組みを推進する「インフラDX総合推進室」が発足されました。

通信速度や容量を向上させBIM/CIMなどの大容量データにも対応できる体制を構築しています。

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まとめ

まとめ

建設業のDXについて背景と現状、推進していくための施策などを理解できたでしょうか。

建設業のDXとは、これまで人の手で行われていた業務や作業を機械に移行していく取り組みのことで作業の省人化・省力化が目的です。

昨今では、国家をあげて本取り組みを推進しており、DX導入にかかる補助金やサポート体制が充実してきています。

これまで、3K(きつい・汚い・危険)といった建設業のイメージを払拭するべく、国家や各々の企業が積極的に取り組んでいます。

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