ビルやマンション、店舗などは、さまざまな設備が正常に機能することで快適に維持されます。
しかし、どんな設備も経年とともに劣化しますので、定期的な修繕管理を行うことが必要です。
修繕管理で重要なのは、点検結果や稼働実績の「見える化」です。
従来の属人的な管理では、故障リスクが増大し、コスト増になっても対策を行うまでに時間がかかります。
修繕管理システムを導入すれば、修繕計画の見直しが簡単になり、迅速に最適化することが可能です。
この記事では、修繕管理の概要とシステム導入のメリットについて解説し、おすすめの修繕管理システムも6つ紹介しています。
ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。
修繕管理とは?
建物の価値や機能を損なわないためには、長期的な計画に基づく修繕管理が必要になります。
修繕管理は、建物や設備の経年劣化や不具合を、修理や部材取替で復旧させて維持していく管理です。
例えば、ビルやマンションはコンクリートの強健な建物ですが、雨風や紫外線に何年もさらされるとさまざまな部分が劣化していきます。
コンクリートの劣化を放置してひび割れが生じれば、雨漏れによる建物本体への重大な影響が起こります。
このようなことを未然に防ぐためには、長期修繕計画を作成し計画に沿った適切な修繕管理が重要です。
建築基準法第8条には、以下のような条文があります。
「建築物の所有者、管理者または占有者は、その建物の敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するよう努めなければならない。」
「常時適法な状態」の範囲は広いですが、適正な計画と、それに基づく日常的な修繕作業が必要なことは間違いありません。
従来の修繕管理の課題
建物や設備の修繕管理で、紙やエクセルを使っている企業では、修繕計画で立てられた作業項目の見落としや管理の属人化、コスト増などが課題となっています。
そこで求められるのは、ユーザビリティの高い視覚的なインターフェースの導入や管理にかかわる作業の標準化、交換周期や稼働実績で修繕予定を計算してくれるツールなどです。
修繕管理システムには、これらの機能が包含されているので、導入費用を考えても最終的には大幅なコスト削減が実現可能になります。
修繕管理システムを導入するメリット
修繕管理システムを導入すれば、これまで紙やエクセルで管理していた煩雑な設備情報を一元管理できます。
修繕管理システムを導入するメリットを以下の3つのポイントから解説します。
- 修繕計画の見直しと最適化
- 修繕管理の属人要素を排除
- 修繕周期の自動化でコスト削減
修繕計画の見直しと最適化
従前の紙とエクセルの修繕計画では、システム化されていないため適切な見直しが行なわれず非効率な計画になりやすいです。
修繕管理システムでは、例えばガントチャートで修繕計画を見える化し、修繕期限切れの機器にマークを付与して通知する等の機能で見落としを防止できます。
また、導入前は稼働時間を想定して修繕計画を作成しますが、導入後は過去のリアルな稼働実績から修繕周期を見直しできるので点検業務の最適化が可能です。
修繕管理の属人要素を排除
システム導入前は、担当者の能力に依存した属人的な管理のため、適切な修繕管理ができているか把握しづらいです。
システム導入後は、設備台帳の登録、交換周期や稼働実績に基づく修繕予定の計算、日常点検や修理履歴の登録等がデジタルデータ化されます。
そしてこれらをクラウドで共有・管理することができるため、標準化することが可能になり属人要素を排除できて、担当者が変わった際の引継ぎもスムーズです。
修繕周期の自動化でコスト削減
修繕管理システムの多くは、修繕周期の自動化が可能であるため、最適な修繕計画を提案できます。
クラウド管理なので、いつでもどこでも最新の情報を確認できて、ハードウェアの維持管理不要でシステム運用が可能です。
システムによる最適な修繕計画の提案により余分な修繕費用が抑えられ、故障リスクは低減し設備の安全稼働が実現するため、導入費用を考慮しても大幅なコスト削減を実現します。
修繕管理システムおすすめ【6選】
ここでは、おすすめの「設備点検アプリ・システム」を6つ厳選して紹介します。
サクミル:修繕管理もできる業界最安水準の施工管理アプリを導入したい企業に
主な機能 | スケジュール管理 顧客・案件管理 作業日報作成 など |
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 4,000円 |
無料トライアル | ○2ヶ月間 |
運営会社 | 株式会社プレックス |
サクミルおすすめポイント
- 50代以上のユーザーを想定したシンプル設計
- 月額4,000円のコストパフォーマンス
- すごいベンチャー100に選出
編集部コメント
サクミルはすごいベンチャー100にも選出されたオールインワンの施工管理アプリです。
設備保全管理に必要な「報告書の作成」や「書類検索」、「スケジュール管理」などサクミルの基本機能に完備されている為、修繕管理やビルメンテナンス業界でも導入実績が豊富です。
50代以上のユーザーを想定して開発されている為、普段からスマホ・タブレットに慣れていない方でも使いやすい設計になっています。
またサクミルは初期費用無料で30アカウント300GBまで月額費用4,000円で利用できます。
この価格帯は業界でも最安水準の為、初めて設備保全管理システムを導入したい企業には特におすすめ。
今なら2ヶ月間の無料トライアルも用意されている為、下記公式HPからお試し利用をしてみてください。
KANNA:修繕管理の点検にタブレットを使用したい企業向け
主な機能 | 写真・図面・仕様書などをクラウドで一元管理 さまざまな端末からいつでもアクセス可能 コミュニケーション機能をチャットに統一 |
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 月額:0円~ ※プランによって変動 |
無料トライアル | ◯1ヶ月間 |
運営会社 | 株式会社アルダグラム |
KANNAおすすめポイント
- タブレット導入でリアルタイムに情報を共有
- ペーパーレス化によるコスト削減が実現
- 作業の標準化することで属人化を回避
編集部コメント
株式会社アルダグラムが提供するKANNAは、導入のハードルが格段に低い施工管理アプリです。
アプリとクラウドの両方で利用できて、PC、スマホ、タブレットなど利用する端末を選びません。
図面や資料はクラウドでの管理なので、何時でもどこでもデータの確認ができます。
現場で撮影した写真もその場でアップロードできます。 チャット機能もあり、自社専用のカスタマイズも設定可能です。
専属のサポート担当により徹底したアシストがあります。
KANNAは初期費用・月額0円~でチャットやスケジュール管理、協力会社管理など、基本機能が利用可能です。
無料トライアル期間もある為、はじめてのDX化を図る企業にもおすすめです。
ビルカン:修繕管理業務の書類作成を効率化したい企業向け
主な機能 | 報告書作成とファイル管理が連携 設備管理と図面管理が一元化 スマートフォンで点検作業が簡単 |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額費用 | 要問い合わせ |
無料トライアル | ◯1ヶ月間 |
運営会社 | 株式会社FLINTZ |
ビルカンおすすめポイント
- 図面上にピンを設定して建物の状況が一目で把握
- 管理書類全般を簡単に作成・確認・共有できる
- 過去の修繕履歴を簡単に検索・確認できる
編集部コメント
ビルカンの最大の特徴は、報告書作成とファイル管理が連携しているため、作成が簡単で管理もしやすいです。
クラウド上で、誰でも何時でもビルの管理状況にアクセスできます。
図面にピンを配置して残せるため、重点的に管理が必要な箇所を可視化できます。
また、設備や図面、画像等のデータを分析する機能もあり、長期的な修繕計画の作成に非常に役立ちます。
ビルカンは令和5年6月にリリースされたばかりであり、運営会社のFLINTZも令和3年10月に設立された若い会社です。
導入前に実績やサポート体制については、下記公式HPから資料請求をして見てください。
EQSURV Manager:修繕管理でPDCAサイクルを確立したい企業向け
主な機能 | 写真・図面・仕様書などをクラウドで一元管理 さまざまな端末からいつでもアクセス可能 コミュニケーション機能をチャットに統一 |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額費用 | 要問い合わせ |
無料トライアル | × |
運営会社 | 東芝システムテクノロジー株式会社 |
EQSURV Managerおすすめポイント
- 設備情報を一元化し、最適な修繕計画を作成
- 連携漏れや修繕漏れのない点検と結果分析
- トラブルや懸案事項を登録・管理して対応漏れを防ぐ
編集部コメント
設備に関するさまざま情報をデータ化した台帳をベースに、保管された設備情報はシステムで一元管理され、設備機器のロケーション階層や分類コードから簡単検索が可能になります。
タブレットの管理画面から、点検記録を登録・管理し、過去に実施した点検データの確認も現場でできます。
結果データはグラフ化して、保全計画の見直しや最適化に繋げることもできます。
企業ごとの作業プロセスに合わせたカスタマイズも対応しているので、修繕管理全体の見直しを検討している企業はぜひ検討してみましょう。
SmartFAM:修繕管理の効率化と平準化を進めたい企業向け
主な機能 | 台帳管理、計画、分析、予実管理などを一元化 トレンドグラフやアラートにより稼働状態の連携情報を分析 予兆システム(AIの活用)やERP、MES等を活用 |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額費用 | 要問い合わせ |
無料トライアル | × |
運営会社 | 株式会社日立産業制御ソリューションズ |
SmartFAMおすすめポイント
- 修繕管理の重要項目をワンストップで管理
- 修繕管理におけるPDCAサイクルを実現
- 他システムとも容易に連携が可能
編集部コメント
計画から予算・実行の差異管理まで、修繕管理業務の効率化と平準化をオールインワンで提供するのがSmartFAMです。
慢性的な人員不足や働き方改革の影響で、管理者、現場双方で人員補充ができません。
このような状況の中、修繕管理業務の効率化と平準化が求められており、そのニーズに応えようというのがコンセプトです。
タブレットを用いた点検・報告作業と遠隔操作による効率化、BIツールを用いた修繕情報の分析等ができます。
また、バーコードやRFIDタグを活用した予備品の在庫管理・棚卸管理も可能です。
eServ:システムの導入効果をすぐに実感したい企業向き
主な機能 | ドリルダウン機能による経営者向け効果測定 スマホ・タブレットによる点検結果入力と共有 設備機器情報・故障情報・作業計画と実績を一元管理 |
初期費用 | 要問い合わせ |
月額費用 | 10,000円/ID (5ユーザーから1年単位の契約) |
無料トライアル | × |
運営会社 | 横河電機株式会社 |
eServおすすめポイント
- 修繕効果測定や改善活動に必要な指標をグラフ化
- 迅速に点検標準と点検結果を管理する機能
- 修繕管理業務の効率化・省力化に最適
編集部コメント
横河電機が30年以上にわたって修繕管理・設備保全の現場をサポートしてきた「経験とノウハウを結集させたシステム」というのがセールスポイントです。
国内外360サイト・5,000ユーザーからのフィードバックを反映させて開発したとされています。
モバイルやIoTの活用で、修繕管理業務のスマート化を目指し、「やりたいことをシンプルに、見やすく、使いやすく」がコンセプトです。
操作性の高さ、見やすさはシステム移行の労力の軽減に繋がり、運用後の変更に対してもフレキシブルで、トラブル進捗管理と水平展開も可能となっています。
修繕管理システムフリーソフト
修繕管理システムのソフトやアプリには、無料試用期間を設定しているものが少なくありません。
これによってユーザーは、実際の操作性や機能性などについて、費用を気にせず確認できます。
ここでは、20設備まで無料の「MONiPLAT」、30日間無料の試用期間をもつ「Pinspect」と「サイボウズOffice」を紹介します。
MONiPLAT(20設備まで無料)
MONiPLATは、20設備まで無料で、設備台数で段階的に料金が変動します。とにかく初期費用を抑えたい企業にはメリットが大きいです。
設備数によりますが無料で設定代行サービスも行っています。紙の帳票からの移行が不安だ、初期設定に費やす時間がない等のユーザーのニーズに応えるサービスです。
月額費用は、21設備から50設備までが15,000円、51設備から100設備までが30,000円とリーズナブルな設定になっています。
公式HP:https://moniplat.com
Pinspect(30日間無料)
Pinspect(ピンスペクト)は、点検・検査箇所をAR(拡張現実)で記録、可視化するアプリです。Pinspect のARは、対象箇所の3次元座標を取得し、デジタル付箋(ピン)を対象空間上に可視化します。
写真やメモを座標に関連付けて保存し、現場情報を図面やエクセル様式でレポート出力することが可能です。さらに、クラウド共有機能で作業効率は大幅にアップします。
Pinspectのすべての機能を30日間無料で試すことができます。
公式HP:https://www.msoft.co.jp/service/pinspect.html
サイボウズOffice(30日間無料)
サイボウズOfficeは、企業内での業務や作業をスムーズにするためのソフトウェアです。中小企業向けグループウェアとして7万社が導入しています。
スケジュールやファイル管理、プロジェクトなどの汎用的な標準機能がワンパッケージになっています。さらに、カスタムアプリを利用すれば、100種類以上のテンプレートから自社の業務に合わせて上限なしでアプリの作成が可能です。
そして、サイボウズOfficeも、全ての機能を30日間制限なしで利用できます。
公式HP:https://office.cybozu.co.jp/function/customapp/sample/shisetsu-shuzen/index.html
修繕管理システムを導入し業務の効率化を計ろう
ここまで、修繕管理システムについて以下の内容で解説しました。
- 修繕管理の概要
- 修繕管理システムを導入するメリット
- 修繕管理システムの無料試用期間
- 修繕管理システムおすすめ【6選】
修繕管理で重要なのは、点検結果や稼働実績を「見える化」して、リアルな情報をベースに修繕計画を策定することです。
適正な修繕計画があれば、それに基づいて適切な業務を実施することができます。
修繕管理システムを導入することで、業務は標準化され管理を一元化できます。
その結果、無理なく合理的な修繕計画が策定できて業務を効率化することが可能です。