ビルメンテナンス業界の課題と今後の展望|具体的な施策まで解説

ビルメンテナンス業界の課題と今後の展望|具体的な施策まで解説

日本にはビルやマンションが多く存在し、メンテナンスは必要不可欠です。

ビルメンテナンス業界は、清掃管理・保安管理・衛生管理・設備管理など、多くの業務内容があります。

一見、問題のなさそうな業界ですが次のような課題を抱えています。

  • 深刻な人手不足
  • 競合他社による需要と供給のバランス
  • DX化による働き方の変化

この記事では、ビルメンテナンス業界の現状から抱えている課題の解決策、今後の動向について詳しく解説していきます。

5分程度で読める記事になっているため、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

ビルメンテナンス業界の発展と現状

ビルメンテナンス業界の発展と現状

従来、ビルメンテナンスはビルオーナー自ら手掛けていましたが、防犯・警備・電力などの需要が広がり、設備管理という形で業務内容を広げてきました。

ビルメンテナンス業界は、労働集約型産業でサービス原価に人件費の占める割合が高く、サービス面での差別化が図りにくい傾向にあり、経済や社会的背景の影響を受けやすい業界です。

労働集約型産業とは、事業活動の大部分を人間の労働力に頼る割合が多い産業のことです。

ビルメンテナンス業界の市場規模は4兆円前後と言われています。

2020年度は新型コロナウイルスの影響で売上が減少すると予測されていますが、減少幅は少なく安定している業界だとわかります。

下記では、市場調査を専門に行う株式会社矢野経済研究所の調査をまとめたので見ていきましょう。

年度市場規模
2018年度3兆9,952億円
2019年度4兆2,763億円
2020年度4兆2,337億円
2021年度4兆3,425億円
2022年度4兆5,889億円
2023年度(予測)4兆6,494億円
引用元:ビル管理市場に関する調査を実施(2023年)

上記の表を見ると、年々市場規模の増加がわかります。

世の中からビルがある限りビルメンテナンスは必要であるため、今後も安定した需要があると予測できるでしょう。

ビルメンテナンス業界の課題

ビルメンテナンス業界の課題

ビルメンテナンス業界が抱えている課題は、次の3つです。

  • 人手不足
  • 企業競争の激化
  • 物価の高騰

上記の順に詳しく解説します。

【ビルメンテナンス業界の課題】①人手不足

ビルメンテナンス業界の課題は、若年層・マネジメント層の人手不足です。

人材不足は従業員・パートも含め、業界全体で悩んでいることが現状です。

ビルメンテナンス業界は労働集約型産業であり人の労働力への依存度が高く、人材獲得が企業の売上にもつながります。

ビルメンテナンス業界の未来を考える総合サイト「ビルメンWEB」が実施した調査によると、次のような回答が報告されています。

【従業員の過不足について】

年度回答(不足)回答(やや不足)合計
2017年32.1%46.2%78.3%
2018年32.7%45.5%78.2%
2019年35.8%43.7%79.5%
2020年15.8%49.4%65.2%
2021年18.8%46.9%65.7%
引用元:第52回実態調査報告書「ビルメンテナンス情報年鑑2022」

新型コロナウイルスが蔓延した2020年頃は、業務供給量が落ち人手不足を感じる企業が減少していることがわかるでしょう。

また、ビルメンテナンス業の悩みごとの質問では、「現場従業員が集まりにくい」と回答した企業が77.8%と、業界全体が人手不足に悩んでいることがわかります。

【ビルメンテナンス業界の課題】②企業競争の激化

ビルメンテナンス業界における国内の新規需要は頭打ちになっていることから、既存物件の受注を巡る企業競争の激化が課題です。

また、ビルオーナーも条件がよい業者に受注したいため、定期的に競争入札を実施しています。

ライバル会社と競争を行い受注が取れなければ、当然仕事はなくなります。

受注獲得における競争が激化することで受注価格は低下傾向となるため、ビルメンテナンス業界の状況は厳しくなる一方でしょう。

【ビルメンテナンス業界の課題】③物価の高騰

2020年の新型コロナウイルスや2022年のロシアによるウクライナ侵攻など、さまざまな要因が関係し資源価格は高騰しています。

電気代や備品代など、経費にかかる金額が大きくなることで経営にも影響がでてきます。

また、近年では人件費も上昇傾向であり、物価・人件費の上昇でビルメンテナンス業界の負担が大きくなることが課題です。

ビルメンテナンス業界の課題を解決する具体的施策

ビルメンテナンス業界の課題を解決する具体的施策

ビルメンテナンス業界の課題を3つ紹介しました。

課題を解決するための具体的施策は、次の通りです。

  • 外国人労働者の雇用
  • 海外進出・既存ビルへのアプローチ
  • ITツールの導入

上記の順に見ていきましょう。

施策①外国人労働者の雇用

日本の少子高齢化は進む一方で、人材不足を補うには外国人労働者を積極的に雇用することが求められています。

従来、日本で働ける外国人は専門的な技能をもった人のみでしたが、2019年の入管法改正により幅広い業務での外国人の労働が可能となりました。

ビルメンテナンス業界の人手不足を解消するためには、外国人労働者を受け入れ長期的に活躍できる環境作りが大切です。

施策②海外進出・既存ビルへのアプローチ

国内での企業競争の激化を避けるためには、海外進出および既存ビルへのアプローチも視野に入れておかなければなりません。

例えば、フィリピンやインドネシアなどのアジア諸国では、急激な都市開発が進んでいるため、日本の高いノウハウを求める国が多く需要は高いと予測します。

また、高度経済成長期に建てられたビルの多くは、修繕や建て替えが行われるためビルメンテナンスの需要が増えてくるでしょう。

受注をもらうためには、他社と差別化したサービスを提供し、競合にはない付加価値を提供することが求められてきます。

施策③ITツールの導入

ビルメンテナンス業界のIT化を実現することで業務効率化や人手不足の解消など、さまざまな課題を解決できます。

例えば、ドローンによる高所の計測・点検やAIによる自動清掃技術など、ITを活用することで少ない人材でも効率よく業務が遂行できます。

また、競合との差別化を図るためにもITツールを導入することで優位性を確保できるでしょう。

ビルメンテナンス業界の今後の展望

ビルメンテナンス業界の今後の展望

ビルメンテナンス業界は、今後も安定した需要と市場規模を保てることが予測できます。

しかし、他社との競争激化や人材不足など、問題を抱えていることも事実です。

実際に大手企業のなかにはITツールの導入で付加価値を追加したり、人材不足を解消するために中小企業を買収するM&Aの実施などすでに動き始めています。

これからの時代、IT技術を取り入れている企業とそうでない企業の格差はどんどん広がっていくと言われています。

また、ビルメンテナンス業界もIT化の波が押し寄せており、円滑で効率的な管理を実施するためにもITツールの導入が必要不可欠です。

ビルメンテナンス業界に有効なツールが、設備保全管理システムです。

設備保全管理システムとは、企業や施設がもつ設備の点検・保守・修理などの管理業務を効率化するシステムのことを言います。

設備保全管理システムを導入することで、企業は優位性を高めて持続的な成長を実現できるでしょう。

設備保全間システムの詳細については、下記の記事を参考にしてください。

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まとめ

まとめ

ビルメンテナンス業界の課題と今後の展望について紹介しました。

ビルやマンションがある限り、ビルメンテナンスの需要がなくなることはないでしょう。

しかし、人手不足や他社との競争激化など、抱えている問題も少なくありません。

ビルメンテナンス業界が抱えている課題を解決するためには、「外国人労働者の雇用」「海外進出」「ITツールの活用」が必須です。

解決策のなかで手に取りやすいのがITツールの活用です。

業務をIT化することで人手不足を緩和し、競合との差別化ができます。

今回紹介した設備保全管理システムなどを使用し、今後の業務に活用してくださいね。

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