安全書類とは?必要な種類一覧から保管期間、書き方まで解説

安全書類とは?必要な種類一覧から保管期間、書き方まで解説

建設現場で欠かせない「安全書類」。

本記事では、そんな建設業に必須の「安全書類」とは何かをわかりやすく解説します。

また安全書類の基本から必要な種類の一覧、保管期間、書き方のポイントまで、実務で使える知識を詳しく紹介します。

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目次

安全書類とは?

安全書類とは?

建設業における「安全書類」とは、労務安全書類やグリーンファイルとも言い、労働災害を未然に防ぎ、安全な作業環境を維持するために作成・提出される書類の総称です。

具体的には、作業員の健康状態や資格情報、使用機械の点検記録、作業手順や安全対策の確認書類などが該当します。

これらの書類は、元請業者が下請業者や協力会社に対して安全管理体制の整備を求めるために提出を義務づけるものであり、法的根拠も労働安全衛生法などに基づいています。

安全書類の目的は、現場で働くすべての作業員の命を守ることにあります。

作業の危険性が高い建設現場では、たとえ些細な不備でも大きな事故につながるリスクがあります。

そのため、関係者全員が情報を共有し、作業内容や環境に対して常に最新の注意を払う必要があるのです。

また、安全書類の提出は、元請と下請の責任分担を明確にし、労災発生時のトラブルを防ぐための重要な手段でもあります。

単なる形式的な書類ではなく、日々の現場運営を支える重要な仕組みのひとつとして位置づけられています。

今では多くの現場で、電子データによる管理や現場アプリの活用も進んでおり、安全書類の効率的な運用が求められる時代となっています。

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安全書類の保管期間

労務安全書類の保管期間に関して、建設業法において一定期間の保管が求められています。

書類の種類によって保管する期間は異なり、基本的な全書類は建設業法第40条の3において原則5年間の保管が義務付けられています。

また、施工体系図は工事完了後、建物の引き渡しが行われてから10年間の保管義務があり、他にも完成図書や発注者との打ち合わせ記録といった書類も10年間の保管義務があるため、注意が必要です。

営業所ごとに、帳簿を備え、5年間保存することが必要
建設業法第40条の3では、建設業者は営業所ごとに、営業に関する事項を記
録した帳簿を備え、5年間(平成21年10月1日以降については、発注者と締
結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては、10年間。)保存しなけ
ればならないとされている。(建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)
第28条第1項)。

引用元:建設業法令遵守ガイドライン(第4版)

安全書類の種類一覧と書き方

安全書類の種類一覧と書き方

建設現場では、安全と法令遵守を確保するために、現場に入場する際や作業開始前に多くの労務・安全関連書類の提出が求められます。

これらの書類は、労働災害の未然防止と、元請・下請間の責任明確化に不可欠なものであり、内容に不備があると現場入場や作業許可が下りない場合もあります。

とくに多くの現場で提出を求められる主要な安全書類としては、以下の9種類が挙げられます。

  1. 作業員名簿
  2. 工事安全衛生書(または安全衛生管理計画書)
  3. 新規入場時等教育実施報告書
  4. 安全ミーティング報告書(KY活動報告書など)
  5. 持込機械等(移動式クレーン/車両系建設機械等)使用届
  6. 持込機械等(電動工具・電気溶接機など)使用届
  7. 工事・通勤用車両届
  8. 有機溶剤・特定化学物質等持込使用届
  9. 火気使用届

上記の書類は、作業員の安全意識や現場ルールの共有、機械や危険物の使用に関する申請・承認など、安全管理の基本的な仕組みを構成する役割を担っています。

工事規模や工事体制によっては、上記以外の書類も求められるため、安全書類を作成する際にはどのような書類が必要であるか確認が必要です。

書類ごとの用途や記入項目について解説していきます。

作業員名簿

作業員名簿は、建設現場に入場する全作業員の情報を記録・管理するための基本書類です。

名簿に記載する内容は元請企業によって多少異なりますが、一般的には以下のような情報が求められます。

  1. 作業員氏名(ふりがな含む)
  2. 生年月日
  3. 所属会社名(下請・協力会社名)
  4. 住所・連絡先
  5. 緊急連絡先(家族など)
  6. 入場日・退場予定日
  7. 職種・従事する作業内容
  8. 保有資格(例:玉掛け・高所作業車など)
  9. 健康診断の受診日・結果有無
  10. 雇用形態(常用/一人親方 など)
  11. 過去の災害歴・既往症の有無

工事安全衛生書(または安全衛生管理計画書)

工事安全衛生書(または安全衛生管理計画書)は、建設工事における安全管理体制や具体的な対策内容を文書化した計画書であり、現場の安全活動の中核をなす書類です。

工事安全衛生書の一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 工事名、施工場所、工期
  2. 元請会社名および作成者情報
  3. 現場の組織体制図(安全衛生責任者、統括管理者など)
  4. 作業員数の見込みと協力会社一覧
  5. 各種リスクの洗い出しと対応策(リスクアセスメント)
  6. 使用機械や材料に対する安全対策
  7. 災害発生時の対応手順(緊急連絡体制、初期対応など)
  8. 毎日の安全ミーティング・パトロールの実施計画
  9. 教育訓練・周知活動の内容
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新規入場時等教育実施報告書

新規入場時等教育実施報告書は、建設現場に初めて入場する作業員に対して実施した安全教育の内容と実施記録を証明するための書類です。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 教育実施日
  2. 教育対象者の氏名および所属会社名
  3. 現場名・工事名
  4. 実施した教育の内容(例:現場ルール、危険箇所、災害事例など)
  5. 教育を担当した者の氏名・所属
  6. 教育時間や実施場所
  7. 対象者の署名または押印
  8. 教材や配布資料の有無・記録方法

安全ミーティング報告書(KY活動報告書など)

安全ミーティング報告書は、作業前に行われる朝礼やKY(危険予知)活動の内容を記録し、作業員間での安全意識の共有や危険回避の取り組みを明文化するための書類です。

この書類の一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 実施日・時間
  2. 現場名・工事名
  3. 参加者氏名および所属会社名
  4. 実施した内容(危険予知項目、当日の作業内容など)
  5. 危険ポイントとその対策
  6. 指導者または記録者の氏名
  7. 特記事項(ヒヤリハット事例、注意喚起など)

持込機械等(移動式クレーン/車両系建設機械等)使用届

移動式クレーンや車両系建設機械などの大型機械を現場に持ち込む際には、利用する機械が適切に整備・管理され、安全に使用できる状態であることを確認するために「使用届」の提出が求められます。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 使用する機械の名称・種類・型式
  2. 製造番号または機体番号
  3. 使用予定期間および作業内容
  4. 所属会社名および機械の所有者情報
  5. 操作・運転を担当する作業員の氏名および保有資格
  6. 点検・整備の実施状況および実施日
  7. 機械の搬入・搬出予定日
  8. 使用時の安全対策(誘導員の配置、接地措置など)

持込機械等(電動工具・電気溶接機など)使用届

大型機械と同様に、電動工具や電気溶接機などの機器を建設現場に持ち込む場合は、機械の使用に伴う火災や感電、破損といったリスクを事前に把握し、安全対策を講じるために「使用届」の提出が求められます。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 機器の名称・種類・型式
  2. 製造番号または管理番号
  3. 使用目的および作業場所
  4. 使用予定期間
  5. 所属会社および申請責任者名
  6. 使用担当者の氏名および取扱資格の有無
  7. 点検・整備の実施状況(点検日、担当者)
  8. 感電防止措置・接地方法の有無
  9. 安全対策の概要(遮断器使用、配線保護など)

工事・通勤用車両届

工事・通勤用車両届は、建設現場に乗り入れる車両の情報を事前に申告し、現場内外での接触事故や誤進入、盗難などを防止するために提出が求められる書類です。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 車両の種別(乗用車/トラック/特殊車両など)
  2. 車両ナンバー(登録番号)
  3. 使用目的(通勤/資材搬入/工事用など)
  4. 所属会社名
  5. 運転者の氏名および連絡先
  6. 搬入出予定日・時間帯
  7. 車両のサイズや積載物の概要
  8. 緊急時の連絡先または担当者情報

有機溶剤・特定化学物質等持込使用届

有機溶剤や特定化学物質など、人体や環境に影響を与えるおそれのある物質を建設現場に持ち込む際には、「持込使用届」の提出が必要です。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 持込予定の物質名・成分名
  2. 使用目的および作業内容
  3. 使用・保管予定の場所
  4. 使用開始日と終了予定日
  5. 持込数量(使用量・保管量)
  6. 所属会社名および責任者氏名
  7. 使用作業者の氏名および資格の有無
  8. 安全データシート(SDS)の添付有無
  9. 換気・保護具・漏洩対策などの安全措置内容

火気使用届

火気使用届は、建設現場でガスバーナーや溶接機などの火気を扱う作業を行う際に提出する書類です。

一般的な記入項目は以下のとおりです。

  1. 使用機器の種類(例:ガスバーナー、アーク溶接機など)
  2. 使用目的および作業内容
  3. 使用予定日と時間帯
  4. 作業場所の詳細(建物内/外、階層など)
  5. 所属会社名と担当責任者名
  6. 作業者氏名および関連資格の有無
  7. 監視員の配置予定と氏名
  8. 火災対策(消火器配置、周囲の可燃物処理など)
  9. 天候や風向きの影響がある場合の対応方法

その他必要書類

工事の内容・規模や、工事体制によっては以下の書類が求められることがあります。

そのため、安全書類を作成する際には、どのような書類が必要であるか、工事内容を参照して調べるようにしましょう。

  • 労務・安全衛生管理事項引受確約
  • 労働基準監督署提出書類報告書
  • 安全帯使用の確約書
  • 脚立の単独使用の確約書
  • 建設業法・雇用改善法等に基づく届出書(変更届)
  • 下請負業者編成表
  • 有資格者一覧(技能講習)
  • 年少者就労報告書
  • 高齢者就労報告書
  • 外国人就労に関する誓約書
  • 免許・技能講習修了証貼付台紙
  • 職長教育修了証貼付台紙

安全書類を記入する際によくある質問

安全書類を記入する際によくある質問

建設業における安全書類を記入する際によくある質問をまとめました。

安全書類は手書きでないとダメでしょうか?

いいえ、必ずしも手書きである必要はありません。

近年では多くの現場でパソコン入力やPDF編集が許可されており、クラウド管理アプリなどを利用するケースも増えています。

ただし、提出先によっては押印が必要な場合や手書き指定の書類もあるため、元請けの指示に従って作成することが大切です。

資格証の写しは全員分必要ですか?

基本的に、該当する作業に関与する作業員の資格証写しが必要です。

たとえば、高所作業車や玉掛け、足場の組立て等の資格が必要な作業では、対象者のみの提出で問題ないケースが多いです。

ただし、現場によっては全員分の写しを求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

記入項目に空欄があると受理されませんか?

空欄のまま提出すると、内容確認ができないため受理されないことがあります。

たとえ該当なしであっても「なし」や「該当なし」と明記するのが基本です。

また、記入漏れが多いと再提出や入場許可の遅れにつながることもあるため、提出前にはダブルチェックが推奨されます。

書類の保管は紙でなければなりませんか?

安全書類の保管形式は、紙・電子どちらでも可能ですが、電子保存を行う場合は改ざん防止措置や検索性の確保が求められます。

元請の方針や監督署の指導により、紙の写しを求められることもありますので、電子管理する場合でも印刷対応できる体制があると安心です。

古い様式の書類でも提出して問題ありませんか?

原則として、元請会社や現場が指定する最新の様式を使用する必要があります。

古い様式では必要な記載項目が不足している場合があるため、現場で受理されないこともあります。

提出前に最新様式の有無を確認し、書式の更新にも注意を払うようにしましょう。

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まとめ

まとめ

以上、建設業における安全書類について解説しました。

今回の内容をまとめると以下の通りになります。

  • 安全書類とは、建設現場での労働災害防止と安全管理のために必要な書類
  • 主な書類には作業員名簿や使用届など9種類があり、工事内容により追加書類も存在する
  • 書類の保管期間は原則5年、一部は10年間の保存が義務づけられている
  • 書類作成時は最新の様式を使用し、空欄や不備のないよう正確に記入することが重要
  • 電子保存も可能だが、提出先の指示に従い紙対応もできる体制を整えるべき

昨今は電子上で書類を作成・管理することも増えているため、他の業務もまとめて効率化することができる施工管理アプリなどを活用すると良いでしょう。

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