【建設業向け】ガントチャート工程表とは?WBSとの違いから作り方・無料テンプレートまで解説

ガントチャート工程表とはどのような工程表を指すのでしょうか。

ここでは、ガントチャートの解説から、WBSが示すものなど初歩的な観点から解説しています。

更に、実際にガントチャートをどのように作っていくかの手順やアプリも紹介しています。

本記事を通してガントチャートやWBSが示すものを理解して実際に現場で活用してみましょう。

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目次

ガントチャートで「プロジェクトの全体像」を把握

ガントチャートで、プロジェクトの全体像を把握

建設業においてプロジェクトの進捗管理(工程管理)に欠かせないものが工程表です。

ガントチャートとは、工程表を把握する手段の一つで工事や各工種の進捗率を把握するために用いられます。

ガントチャートを説明する際には、バーチャートとの違いを元に理解する必要があります。

バーチャートとは、縦軸に作業種別や工種を表し、横軸に時間(日時)を表すことが特徴です。

従って、その表を見ることで各工種・工程が「いつ始まり」、「いつ終わるのか」ということが一目でわかります。

更にその作業に必要な日数が明確になるという特徴があります。

バーチャートが日時を表すことと比較して、ガントチャートでは作業の進行・進捗状況を把握することが特徴です。

具体的には、縦軸に作業種別や工種を表し、横軸に進捗率を表します。

つまり、日時としていつ始まって、いつまでかかるのか、という日数は分からないものの、現時点でどこまで進んでいるのかという進捗率を示すことに適しています。

上述より、ガントチャートを使うことで大きな現場で多様な工種を進めている場合に、各工種がどの程度の進捗率があるかが示すことができ、把握が容易になります。

万が一、作業に遅れが生じている場合であっても気づきが早くなりリカバリー対策の着手の早期化が期待できます。

ガントチャートの具体例をコンクリート構造物(擁壁)などを例に下表のとおり示しました。

進捗率10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%
土工          
均しコンクリート打設          
鉄筋        
型枠         
躯体構築          

ガントチャート工程表とWBSの違い

次に、ガントチャートとWBSの違いについて解説します。

ガントチャートは上述の通り、作業進捗を示すのに適した表になります。

WBS(Work Breakdown Structure)は、作業分解構成図とも示すことができ、プロジェクトの工種や種別を細分化して表で示す手法を指します。

プロジェクトを工種や種別に分解してツリー構造を構築して、工種や種別同士の関係や処理に必要なリソースを把握することが可能なポイントが特徴です。

コンクリート構造物構築現場におけるWBS例を下記に示します。

ガントチャート工程表とWBSの違い

ガントチャートは、プロジェクトの進捗、ロードマップを示すのに用いられるので、プロジェクトの大まかな達成目標や最終成果が分かりやすくなることが特徴です。

そして、ロードマップを元により詳細なWBSやガントチャートを作成し、プロジェクトを管理することが可能になります。

現場監督の仕事として、現場を把握・コントロールするためにも、WBSで工種や種別を洗い出し、ガントチャートを作成するためのベースを作成します。

このように、ガントチャート工程表とWBSは、どちらか1つを使えば良いというものではないのです。

WBSで、工種や種別同士の関係や処理に必要なリソースなどを細かく管理しつつ、ガントチャートで全体のスケジュール管理を行います。

そのため、プロジェクト管理をスムーズに行うために、WBSとガントチャートの両方を併用することが求められるのです。

ガントチャート工程表のメリット

ガントチャート工程表のメリット

次に、ガントチャート工程表のメリットを解説します。

メリットは以下の3点が考えられます。

  • 工事全体の工種や種別などの進捗状況を可視化できる
  • 工事全体の中で担当以外の工種・種別についても共有できる
  • シンプルな構造のため見るだけで読み取れる

それぞれについて詳しく解説します。

工事全体の工種や種別などの進捗状況を可視化できる

工事を進めていくうえで進捗が見えにくい工種があることをご存知でしょうか。

鉄筋組立などでは大枠が組みあがっていても補強鉄筋の設置が必要のため見た目以上に時間がかかるケースなどがあります。

このように現場で見てきた進捗が実際の進捗とリンクしていない時に混乱しないように、ガントチャートなどを作成して現場の進捗が一目で分かるものが重要になります。

工事全体の中で担当以外の工種・種別についても共有できる

現場監督を含めて担当工種以外の工事進捗まで把握しているケースは多くありません。

担当以外だと知識や経験も少ないため見ただけでは工事進捗を把握することが困難なのです。

他工種の作業員にも、工事進捗が一目でわかった方がいいメリットがあります。

躯体構築では、鉄筋工種の進捗は、後に続く型枠組立やコンクリート打設に大きな影響を与えるのです。

そのため他工種の職員も進捗を一目で確認できるガントチャートなどが現場にあると助かります。

シンプルな構造のため見るだけで読み取れる

ガントチャートは上述で例を示した通り非常にシンプルな見た目で複雑な工種毎の関係性を示していません。

そのため、何がどのくらい進んでいるか?という一点のみを簡単に把握することができるため混乱しない特徴があります。

ガントチャート工程表のデメリット

ガントチャート工程表のデメリット

一方で、ここでは、ガントチャート工程表のデメリットも解説します。

デメリットは以下の3点が考えられます。

  • 工事の工程数は記載できない
  • 工事全体の中で工種や種別毎の優先順位が分かりづらい
  • それぞれの工種や種別毎の相関関係が分かりづらい

それぞれについて詳しく解説します。

工事の工程数は記載できない

ガントチャートでは工事工程を示すことは不可能です。

各工種単体での進捗率を出すのに特化した一方で、複数の工種の関連性を示すことできません。

自分に関係がある工種を認識しておくことで個人的に関係性のある工種の進捗は把握できてもプロジェクト全体を把握することは困難です。

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工事全体の中で工種や種別毎の優先順位が分かりづらい

工程表にはクリティカルといい、最も重要な工程が示されているものを指します。

工事におけるマイルストーンやある特定の作業が終わることで動きだせる作業などをガントチャートで示すことはできません。

従って、作業の優先順位を把握することはできないのです。

それぞれの工種や種別毎の相関関係が分かりづらい

上述の説明と近いデメリットにもなりますが、工種毎の関係性を示すことはできません。

工事は大きくなればなるほど、複数の工種毎の関係性が重要になります。

工事全体を俯瞰してみることが困難なものになっていくのです。

ガントチャート工程表の作り方

ガントチャート工程表の作り方

次に、ガントチャート工程表の作り方を、フロー図を用いて解説します。

  1. 工種・種別の洗い出し
  2. 作業日程、必要な時間の把握
  3. 担当者の決定
  4. 表の作成

それぞれについて説明します。

01.工種・種別の洗い出し

まずは表に入れるべき工種や種別を洗い出します。

ここでは大枠を抑えられるように抽出しましょう。

細分化しすぎるとシンプル性のメリットをつぶしてしまいます。

02.作業日程、必要な時間の把握

職長と確認して作業に必要な日数や期間を把握します。

各作業が階段状になるように作成できます。

03.担当者の決定

各工種を色分けなどして担当者を明記することが可能です。

04.表の作成

上記を踏まえて表を作成します。

ガントチャート作成のコツは作業を細分化し過ぎないことです。

細分化しすぎることでシンプルな構造を持つメリットに反してわかりにくい表になります。

ガントチャート工程表の作成ツール

ガントチャート工程表の作成ツール

最後に、ガントチャート工程表の作成ツールを紹介します。

  • Excel(エクセル)
  • Googleスプレッドシート
  • Lychee Redmine

Excel(エクセル)

Excel(エクセル)は、Microsoft Officeの一つでほとんどの企業で導入されているツールです。

小さな現場であれば工種も少なく、Excel(エクセル)で簡単に作成することが可能になります。

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Googleスプレッドシート

アカウントを登録するだけで、オンライン上で作成や保存ができます。

従って、複数人で作業することもできることが特徴です。

Googleスプレッドシートには、ガントチャートのテンプレートが備わっているため、そのまま使うことも可能です。

Lychee Redmine

上記①②の無料で活用可能なものの他にも有料版でアプリになっているものもあります。

本アプリでは、機能や人数制限が無く、複数人で同時作業が可能です。

対応OSも複数あり、スマートフォンでも確認できるメリットが特徴です。

更に、マニュアルやサポートも充実しているため海外でも活用が可能です。

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まとめ

まとめ

ガントチャート工程表とはどのような工程表を指すのか理解できたでしょうか。

ガントチャートの特徴を把握し、実際に上記で紹介したアプリを用いて現場に導入してみてはいかがでしょうか。

より詳細に現場の状況を把握したい場合はWBSと組み合わせて現場管理を行うことで進捗管理の質が向上します。

まずは無料で試せるエクセルやGoogleスプレッドシートの活用をお勧めします。

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